東京都文京区にある「根津神社」は、都心にありながら四季折々の自然が豊かで、歴史と美しさが見事に調和した神社です。谷根千(やねせん)エリアと呼ばれる下町情緒あふれる街の一角に位置し、近年は観光地としても人気が高まっています。今回は、そんな根津神社を実際に訪れ、みどころや建築的特徴、そしてその魅力について紹介します。
根津神社の基本情報
- 所在地:東京都文京区根津1丁目28-9
- アクセス:東京メトロ千代田線「根津駅」または「千駄木駅」から徒歩約5分。南北線「東大前駅」からも徒歩圏内です。
- 創建:伝承によれば、日本武尊(やまとたけるのみこと)が1900年ほど前に創建したといわれています。
- 主祭神:須佐之男命(すさのおのみこと)ほか、五柱の神々を祀ります。
- 社格:旧准勅祭社・東京十社の一つ。
- 文化財:現存する社殿はすべて江戸時代の建築で、国の重要文化財に指定されています。
根津神社の創建は古く、鎌倉時代や江戸時代の文献にもその名が登場します。現在の社殿は、1706年(宝永3年)に五代将軍・徳川綱吉が奉納したもので、江戸時代初期の建築様式を今に伝える貴重な存在です。戦災や震災をくぐり抜け、創建当時の姿をそのまま残しているのも大きな特徴です。
みどころ
千本鳥居と朱色の参道
根津神社のシンボルといえば、ずらりと並ぶ「千本鳥居」。伏見稲荷大社ほど規模は大きくないものの、赤い鳥居が緩やかな坂道に連なり、幻想的な雰囲気を醸し出しています。鳥居の間から漏れる光と影のコントラストが美しく、写真映えするスポットとしても人気です。参道を歩くと、まるで異世界へ迷い込んだかのような静けさと神秘性を感じます。
つつじ苑(つつじまつり)
春の訪問でぜひ見てほしいのが、4月に開催される「文京つつじまつり」。神社の裏手には約100種類・3,000株ものツツジが植えられており、満開時には境内がピンクや白、紫に染まります。江戸時代から続く伝統の花まつりで、地元の人々や観光客で賑わう季節の風物詩です。
本殿・拝殿・幣殿の豪華な造り
根津神社の社殿群は、本殿・幣殿・拝殿が一体となった「権現造(ごんげんづくり)」という形式。漆塗りの木材に金箔をあしらい、極彩色の彫刻で飾られた社殿は、まさに江戸時代の職人技の結晶です。細部には唐草文様や鳳凰、獅子、牡丹などの華やかな装飾が施され、荘厳ながらも温かみのある雰囲気が漂います。近くでじっくり見ると、細やかな彫りや塗りの美しさに圧倒されます。
神橋
境内の入口近くに架かる「神橋」は、美しいアーチ橋で、写真スポットとしても有名です。橋の下には小さな池が広がり、季節ごとに水面に映る木々の色が変化します。
境内の静寂と自然
根津神社の魅力は、都心とは思えない静けさにもあります。敷地は広く、木々が生い茂る参道や池の周りには野鳥の声が響きます。春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の表情が楽しめるのも大きな特徴。特に早朝の境内は、清々しい空気とともに心が整うような感覚があります。
建築的特徴
根津神社の社殿群は、江戸初期の建築様式を今に伝える「権現造」の代表例として高く評価されています。権現造とは、本殿と拝殿を「幣殿(へいでん)」で連結した複合構造で、神仏習合の時代に広まった形式です。この形式は日光東照宮にも見られ、豪華な装飾と対称的な構成が特徴です。
社殿はすべて漆塗りで仕上げられており、欄間や扉、蟇股(かえるまた)などに細密な彫刻が施されています。色彩は朱、黒、金を基調としており、これが自然の緑に映えて一層際立ちます。
また、根津神社の配置計画にも注目したい点があります。参道の軸線上に楼門、拝殿、本殿が一直線に並ぶ伝統的な構成でありながら、社殿の周囲には池や樹木が自然に溶け込むよう配置され、都市の中でも「自然と信仰の融合」を体現しています。建築的にも、風景的にも非常に完成度の高い境内構成といえるでしょう。
訪れて感じたこと
実際に訪れると、第一印象は「ここが本当に東京なのか」という驚きでした。周囲にはカフェや古本屋が点在するレトロな街並みが広がっている一方で、境内に一歩足を踏み入れると、静謐で厳かな空気に包まれます。特に社殿の朱と金が柔らかな陽光を受けて輝く様子は圧巻。時間を忘れて見入ってしまうほどの美しさでした。
また、外国人観光客やカメラを手にした若者も多く、古い文化を今の世代が新しい形で楽しんでいることにも感動しました。境内にはお守りや御朱印も豊富にあり、建築・歴史・自然の三拍子がそろった神社としておすすめです。
まとめ
根津神社は、東京都内にいながら歴史と自然、建築美のすべてを体感できる貴重な場所です。
権現造の荘厳な社殿、四季を彩る自然、そして人々の祈りが今も息づく空間。
観光としても、建築を学ぶ視点からも、訪れる価値のある神社といえるでしょう。
歴史の重みを感じながら、静かな時間を過ごしたい方には特におすすめです。
谷根千散策の途中に、ぜひ一度立ち寄ってみてください!



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